融資のジツワvol.3 その常識、ほんとうに常識?(後編)

お金を増やす経営
2021.05.31

【融資の概況】
不動産会社
売上:1億4千万円
利益:6,000万円
借入金:16億円
金利:3.6% 債務超過額:15億円

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借り換えを受け入れる金融機関は受け入れを決めたが、既存融資先の複数の金融機関が納得するのか。借り換えの件を伝えると社長とともに恫喝された。
「少し前のバンクミーティングで返済条件を変更したばかりなのに一体何を考えているんだ」
「社長のためにどれだけ我々が尽力してきたと思っているんだ」
金融機関(メインバンク)にケンカを売るなんてあり得ないこと。

今考えても恐ろしいこと。よく行けたなと思う。当日は行きたくなくてしょうがなかった。
しかし、このまま何も変わらなければ、社長は金融機関の利益のために働く人になってしまう。
守らなければという気持ちの方が強かった。

受け入れ側の金融機関の頭取から金利1.6%の借り換え条件の確約をもらい、既存融資先の金融機関に完済による抵当権の解除を頼むと、何年も引き下げ交渉に対して拒絶されていたのに、既存融資先の金融機関の役員から金利を1.5%にするとの回答。
それを聞いた社長が「1.5%!」と言った。
元の金融機関のままなら抵当権の設定費用もかからず、何より長い間、付き合いのある金融機関ともめる必要がない。このままでもいいじゃないか。社長の本音がのぞいた。

「このまま既存融資先の金融機関の条件をのむならこの場で私を解雇してください」
どれだけ多くの方々が御社のために必死になって動いてきたか。それがわからない人とは仕事はできない。
「待ってくれ」 私を引き留め、社長が奥様に相談させてほしいと言い、翌日の回答となった。

その夜、奥様からもこのまま残るのであれば離婚すると言われ、借り換えをすることに決まった。最後の最後に社長を決断させたのは奥様の一言だった。

そこで「今日の格言」。
内助の功のおかげさま。

ありとあらゆることが重ならなければ実現できない。
もしも、土地を借りたのが上場企業でなかったら。
もしも、あの日、本部の人が来ていなかったら。
もしも、奥様がお金を貯めていなかったら。
もしも、奥様の一言がなければ。

16億円の借入金。完済できるあてのない不安から解放された社長は、本来の社長らしさを取り戻し、着実に返済を続けている。今では債務超過会社ではあるが、金融機関より正常先として見なすこととなったと報告をいただいた。
それ以来、私はちょっとやそっとのことで、できないとあきらめるのをやめた。