融資のジツワvol.8メインバンクが融資をやめた、そのときどうする?

お金を増やす経営
2021.07.12

【融資の概況】
鉄スクラップ卸売業
借入金:約4億円

鉄を回収して加工し、製鉄メーカーなどに販売する企業で、鉄の価格が高騰するなか、業績は好調、売上も順調に伸びている。
それにも関わらず、メインバンクから「お金は1円も貸せない」と宣言されてしまった。

なぜ、そんなことになってしまったのか。
原因を探るうちにメインバンクの事情も見えてきた。

メインバンクからすでに借入金があって、月々500万円の返済額をリスケジュール(略称:リスケ)によって100万円に変更していた。

借りる側からすれば
「返済できないんだからしょうがない」
「返済しないよりはいいだろう」と言い訳するが、
貸す側になって考えてみれば
「約束したのに約束通り払わないなんて信用できない」となるのも当然。
リスケによって会社の信用に傷がつく。

このような条件変更によって得することはほとんどない。

公共用地として工場があった土地の収容が決まり、補償金を得て工場の移転を迫られていたが、補償金の代わりに土地を工場用地にならない土地と交換したため、土地から購入して工場を新築しなければならない状況にあった。

新しい工場を建てるためには4億円以上かかる。
当初はメインバンクから融資を受ける予定であったが、リスケをしていたために新規の融資が受けられなくなっていた。

「メインバンクなのに金が出せないってどういうことだ!」と社長は怒る。
融資が受けられる予定だったから土地を土地で交換したのだ。
「今さら」と落胆する社長の気持ちもわかる。
けれど、出せない状況を会社が作ってしまったのだからしょうがない。
いろんなポイントで選択を間違えて、たどり着いた結果だった。

新しい工場を建てられなければ廃業するしかない。
あなたなら、どうする?

社長が個人と法人で収益物件(家賃収入のある不動産)を所有していることがわかり、
「グループ法人税制」の活用を検討した。
親会社が100%株を所有する子会社を作って、子会社に不動産を売却。
子会社は不動産を担保にして返済期間25年で4億5千万円の融資を受け、親会社に支払った。
グループ法人税制を適用すれば、親会社が子会社に売却した不動産に課税はされない。

新しい子会社が4億5千万円という融資が受けられた重要なポイントは2つ。
所有していた不動産が収益物件であったこと。
そして、親会社の業績が好調であったこと。

無事に資金調達ができ、新しい工場の建設が決まった。

そこで「今日の格言」。
無理な返済は計画しない。

月500万円の返済なら年間6,000万円。
月100万円の返済なら年間1,200万円。
実は、6,000万円返済する予定が1,200万円しか返済できていないことがわかる。

リスケをしなければならないような約束は最初からしない。

年間で返済に使えるお金がどのくらいあるのか。計画通りに返していけるのか。
資金繰りを確認してから融資条件を検討する姿勢がキャッシュリッチな企業への近道となる。