融資のジツワvol.1 その常識、ほんとうに常識?(前編)

お金を増やす経営
2021.05.06

【融資の概況】
不動産会社
売上:1億4千万円
利益:6,000万円
借入金:16億円
金利:3.6%
債務超過額:15億円

不動産賃貸業を主な事業とする不動産会社。食品製造会社をグループ会社に持つ。
不動産会社の売上1億4,000万円は上場企業から受け取る土地の賃貸料。20年の期限付きの賃貸借契約で、相談を受けた時点で10年が経過していた。経費を差し引いた利益は6,000万円。
一方、食品製造会社の売上は7億円あるが、利益はマイナス7,000万円。
返済が滞り、バンクミーティングで返済条件を変更してもらう「リスケ」が行われ、元金返済をあきらめて利息のみの支払いとなっていた。利息とはいえ、借入金16億円の金利は3.6%。年間5,760万円の支払いにもなる。赤字の一因となっていた。

利益で元金が返済できず、
利息だけを払い続ける状況。
このまま利息だけを払うために経営を続けるのか。
果たして、それで経営と言えるのか。
しかし、解決の手段が見つからなかった。

あなたが経営者ならどうする?

方法:
まず、不動産会社と食品製造会社を別会社として切り離した。
さらに、すべての借入金を不動産会社に移した。食品製造会社は無借金会社として動き始めた。
不動産会社の持つ16億円の借入金利を下げてもらうよう交渉が始まった。

借入金利を1.6%まで下げれば、返済利息は2,560万円。3,200万円ほどの利益が立ち上がる。融資先の金融機関に交渉するとともに、借り換えを引き受けてくれないかと金融機関を行脚したが、どこも引き受けてくれない。

債務超過15億円の会社の金利引き下げ交渉にどこの金融機関が力を貸してくれるというのか?
その常識、ほんとうに常識?

上場企業に賃貸している土地の賃貸料は、今後10年間、1億4,000万円は必ず売上として計上されることは明白な事実。だが、これだけでは根拠が薄い。

さらなる根拠を示すため、その土地の利用状況を観察することにした。共用の駐車場に、スーパーマーケットをはじめ、衣料品店、飲食店、ファーストフード店、携帯ショップなどが並ぶ、複数の業態の店舗が集まる複合商業エリアとなっていて、地域のあらゆるニーズを満たしていた。目的の店の前に駐車して、簡単な買い物が手軽にできる。
朝昼晩、どのくらいの人が集まるのか、どのくらい駐車場がいっぱいになるのか、私は写真を撮って観察を続け、その結果を金融機関に報告した。

「果たして残り10年ですべての店舗が撤退するなんてあり得るのか?」
「私が経営者なら必ず更新する」と言い切った。

→中編に続く