40年前に100万円で購入した土地が1億円になっていた?!
社歴の長い会社ほど資産の簿価と時価が合わないということが多々あります。
ということで「貸借対照表はキレイがいちばん」の第3回。
前回は「含み損」のケースでしたが、その逆の「含み益」のケースをご紹介します。
土地の場合を見てみましょう。
会計上は「取得原価主義」となっていて取得時の価格で貸借対照表に一度記載すれば、資産の再評価はなく、価格変動が大きい資産の場合、長年の間に簿価と時価が合わなくなっていることがあります。
コンサルティングを担当したあるお客様で、40年前に100万円で購入した土地が高騰し、今では1億円の価値があるというケースがありました。
「取得原価主義」ですから1億円の土地も決算書の価値は100万円。
たとえ「うちの会社には1億円の土地がある」と主張しても、一般的に「固定資産税評価額」は公示価格の70%とされ、銀行は固定資産税評価額の70%で評価します。つまり、1億円の土地が4,900万円としか評価されないのです。
1億円×70%(固定資産税評価額の目安)=7,000万円
7,000万円×70%(銀行の評価額の目安)=4,900万円
そこで今月のポイント。
「財産の価値を知る」ということが大切。
この場合、100万円に対して9,900万円の含み益があるということ。
これを生かさない手はありません。
土地は子会社に買い取ってもらいましょう。
土地を売却すると会社の利益となって9,900万円の法人税30%を納税しなければなりません。
100%の資本関係にある子会社に販売すれば「グループ法人税制」が適用され、9,900万円の利益が出ても税金はかかりません。繰越利益剰余金に9,900万円計上できるため、自己資本比率が高くなり、銀行格付を改善することが可能です。
メリットはそれだけではありません。子会社が土地を買い取るために20年の返済期間で1億円の融資を受ければ、売却益として親会社に1億円が入ります。1億円を使って5年や3年の返済期間の借入金を償還すれば、グループ全体のキャッシュフローも格段に改善できます。
そこで今月のまとめ。
決算の前までに、寝ている財産を起こしましょう。
「グループ法人税制」を活用した銀行格付やキャッシュフローを改善する方法は一つではありません。
次回は「グループ法人税制」のしくみをご紹介したいと思います。