【決算の概況】
3月末決算
営業利益:赤字
最終利益:黒字
「2期連続の赤字はだめ」と税理士の先生から言われたことはありませんか?
なぜ2期連続はだめなのか?1期なら赤字はいいのか?
いいえ、1期赤字でもだめです。営業利益で赤字ということは本業が赤字ということ。銀行が企業につける「格付」が下がります。銀行格付の考え方がわかれば1期でも赤字がだめな理由がわかります。
3月末決算であれば3月末までの数字で来期からの融資の条件が決まります。2年くらい借入金は必要ないという会社はそれほど「格付」に重きを置かなくてもよい場合はありますが、赤字決算となると来期に融資を受けられなくなる可能性があります。「格付」が良いとより低い融資金利、より長い融資期間で融資を受けることができ、企業の運営(資金繰り)にとって有利です。
そこで今月のポイント。
決算申告前に営業赤字がわかったら、今すぐ、一過性の経費はないか決算書を確認してください。いつも出ていないような特別な経費は「特別損失」に計上できるか否かを判断する必要があります。
損益計算書を見てみましょう。
支払ったお金をなんとなくすべて「販売管理費」に計上していませんか?営業利益(本業での利益のことです)を黒字にするために「販売管理費」に計上されている費用を見直してみましょう。
例えば、設備などを導入した初年度に選択できる「特別償却」は特別損失に計上できます。経験上、特別償却費なのに普通に販売管理費になっていることがあります。
火災保険や自動車保険以外に、節税対策のために入っている保険料も特別損失に計上できるか検討してみてください。
また、通常、売上高に計上されていない商品の費用は在庫(売れ残り)として来期に計上されます。
例えば建設業ですが、売上になっていない現場の建設資材だけでなく現場監督の給料や社会保険料も在庫として来期に繰越すことができます。期末棚卸高が増えると売上原価が小さくなり、売上総利益が大きくなります。
その他にも、建設業や人材派遣業など従業員の多い企業で寮を持っている場合、不動産賃貸業を定款に入れれば家賃収入などを本業の売上として売上高に計上できます。
「銀行格付」を意識しない決算書を見てみると、家賃収入を営業外利益である雑収入に計上しているのに、建物の減価償却費や固定資産税を販売管理費に計上するなど、営業利益(本業での利益)を圧縮して税金対策をしている場合もあります。
このように計上する場所を変えて、営業利益を大きくして赤字を回避する方法も考えられます。決算書を作るのは税理士の先生ですが、どのような決算の数字にするのかの方針を決めるのは社長です。
いかに「銀行格付」を意識した決算書が大切か。
「赤字は1期でもだめ」と心得て、赤字にならない決算書を社長自らの意志で作ってください。