融資のジツワvol.9 3億円の利益があっても倒産するって、どういうこと?

お金を増やす経営
2021.07.19

【融資の概況】
建設業
売上高:25億円
利益:3億円
借入金:25億円

3億円の利益があっても、3億円以上の返済をしていたらお金がなくなる。
だれもがわかっているはずなのに、利益以上に返済している経営者は後を絶たない。

利益があっても倒産する。
いわゆる黒字倒産である。

黒字倒産のほとんどが、借入金の返済ができないというより、
納税できないことが倒産につながっていると考えている。

黒字になると法人税が課税されるが、
利益以上に返済をしていると法人税が支払えない。
法人税を支払わないと納税証明書が受け取れない。
納税証明書が受け取れないと金融機関からの融資が受けられない。
融資が受けられないと返済ができず、納税もできず、
倒産が目の前に迫ってくる。

3億円の利益があるとすれば法人税(30%)は9,000万円。
3億円×30%=9,000万円

法人税の支払いまでに9,000万円を貯めなければならないが、
金融機関に返済しているから手元に資金がない。
返済するピッチが早ければ早いほど、納税資金がなくなっていく。
自分で作れるお金には限界がある。
限界の中でお金を回していかないといけない。
全部わかっているはずなのに、考えることを避けてしまう、という事実。

企業には法人税だけでなく、消費税もかかる。納税するお金が足りなくなったから借りたいのに、納税できないから借りられない。まさに板ばさみ。

そこで「今日の格言」。
会社で使えるお金はいくら?

消費税のことだけを考えると、
110円で商品を売ると、110円のお金が入ってきてもそのうちの10円は消費税。
110円すべてが使えるお金じゃない。当然のこと。
それにも関わらず、お金に色がついているわけではないから、1つの口座に入っていれば使えるお金と思ってしまうのも、人の常。

3億円の利益があれば、そのうち9,000万円は法人税の納税。
つまり、2億1千万円しか返済できないと把握しておく。
使えるお金には限界があると心得て。
返済額が限界を超えないように、5年で借りるのか、20年で借りるのか、
金融機関と上手に話していくのは経営者の役目。

110円の収入があったら、10円は消費税として納税口座に入れておく。
そうすれば使ってしまうことはない。

会社で使えるお金はいくらなのか。
「プロフィットファースト」と呼ばれる方法が注目を集めている。
利益口座から納税口座、返済口座、経費口座などにお金を分けて、
最後にいくら利益口座にお金が残っているか。
それが会社で使えるお金。とてもシンプルな答え。