決算ここがポイントvol.3貸借対照表はキレイがいちばん part2

お金を増やす経営
2021.06.30

50年、100年と、社歴の長い会社ほど不良資産が貯まるもの。
貸借対照表には決算までに整理しないといけない不良資産がたくさん残っています。
ということで「貸借対照表はキレイがいちばん」の第2回。

もしかして、あなたの会社の決算書の資産の項目に「電話加入権」がありませんか?
電話加入権ってなに?と思いながら、決算書に残っているからそのまま見て見ぬふりをしているという経理担当者もいるのでは?
電話加入権とは、固定電話を設置するための工事費用のこと。
1985年頃には1台72,000円の費用がかかりました。
個人宅なら1台ですが、企業によっては10台、20台と加入台数も多くなり、費用負担も大きくなります。電話加入権は転売も可能で、以前は電話加入権を売買する市場もありました。
ところが、固定電話を持たない家庭やIP電話を代用する企業が増えたことから、電話加入権の資産価値は減少を続け、令和3年の国税庁の「財産評価基本通達」では1台1,500円となっています。

そこで今月のポイント

決算に向けて貸借対照表はキレイに整理しましょう。

電話加入権は個人資産として社長に買い取ってもらいましょう。
72,000円のものを1,500円で売れば、70,500円の特別損失となります。70,500円×台数分の経費を計上でき、わざわざ経費を使わなくても節税できたことになります。

72,000円(購入価格)−1,500円(時価)=70,500円
70,500円×台数分

他にも特別損失にできる資産があります。
例えば「ゴルフ会員権」。最近では、600万円で購入したゴルフ会員権が15万円の価値しかないなんてケースもありました。
ゴルフ会員権も個人資産として社長に買い取ってもらいましょう。
ゴルフ会員権の場合、法人から個人に名義変更する際に費用がかかるため電話加入権のように簡単ではありませんが、600万円のものを15万円で売れば、585万円の特別損失となります。585万円を経費として計上できます。本来ならあるはずの585万円の利益、その法人税30%である175万5千円。名義変更などの事務手数料が50万円ほどかかったとしても125万円5千円の節税となります。

600万円(購入価格)−15万円(現在の時価)=585万円
585万円×30%(法人税)=175万5千円
175万5千円−50万円(事務手数料)=125万5千円

決算書だけを見て、うちの会社は自己資本比率が30%ある、50%あると安心していると、銀行では評価されていないどころかマイナス評価されていることもあるんです。

ここで今月のまとめ。
決算書にいつまでも残る不良資産はマイナス評価のターゲット。
不良資産は早めに整理しましょう。
今回は「含み損」のケースでしたが、次回は「含み益」のケースをご紹介します。